中高一貫校に無事入学したあと、大学受験にむけて塾をどのタイミングで使うかはご家庭によって考えが異なり、一度悩み出すとなかなか答えが出しにくい問題です。
中学受験となればおよそ小学校4年生から日能研や浜学園など集団塾に通い始めて、塾の指導方針に従うことがある程度セオリーのようですが、大学受験となると中1から塾通いする人もいれば、中学のうちは自力でなんとかする人もいます。
通塾開始時期によるメリットデメリットを考えてみます。
中1〜中2から塾通い
メリット:勉強時間が確保されるため落ちこぼれる可能性が低い
デメリット:集団塾の場合、自習しなければ費用対効果がほぼゼロ。掛け捨ての保険状態。
中3〜高1から塾通い
メリット:ある程度自分の得意/苦手分野が判明した後に塾の活用方法を考えられる
デメリット:中1〜中2で平均点以下が続いた場合、その分野の復習に時間がかかる
高2〜高3から塾通い
メリット:大学受験に向けて問題意識がはっきりするので本人の通塾意思が強くなる
デメリット:志望校に向けては現実的に手遅れになっている可能性がある
とくに中1から中2のお母様にとってご心配なのは、
「テストで平均点を下回る現状、子供に勉強を任せておいて大丈夫なのか」
「成長のためには自分で問題意識を持つまで待つべきなのか」
「今から集団塾に通わせても意味があるのか」
お母様にとっては、せっかく高校受験のない一貫校に入ったのだから中学のうちから勉強を進めてほしい。
お子様にとっては、せっかく高校受験にない一貫校に入ったのだから中学のうちは趣味や分割を優先したい。
悩ましい問題です。
中学受験のときと同様に、親主導で進めてしまいたい、でもそれをやってしまっていいものか・・・。
当塾の塾生のケースを直近数年で親主導(=O)、子供主導(=K)、転塾などでどちらとも言いがたい場合(=N)で分類した結果をご覧ください。
南山女子 O
2. 愛知淑徳 K
3. 愛知淑徳 O
4. 南山女子 K
5. 南山女子 O
6. 南山女子 K
7. 愛知淑徳 N
8. 愛知淑徳 O
9. 南山女子 K
10. 南山女子 N
11. 愛知淑徳 K
12. 南山女子 O
全体 O:K:N = 42% : 42% : 17%
中高全体でみると、親主導かそうでないかはちょうど半々でした。
中学 O:K:N = 71% : 0% : 29%
中学だけでみると親主導のほうが多いようです。
普段、一貫校のお子様を預かって受験指導している私の考えでは、悩むくらいなら親主導で話しを進めてしまったほうが良いです。
特に中学1・2年のうちから英語や数学など主要科目で学年平均を下回るような場合、高校以降に影響を及ぼす可能性が大きいです。そうなるとお子様が「そろそろ受験勉強を本格化したい」と思っても、志望校に向けて前向きな受験指導をする前に、まず苦手分野の克服をしなければならず、たとえ吸収の早い一貫校生の指導といえど最初の半年はドバドバ流れている血を止血することからはじめないといけません。
その点、中2までの入塾であれば平均点以下あるいは最下位ギリギリであっても中学範囲での傷はかすり傷程度にしかなりませんので、指導開始から2〜3ヶ月もあれば学年平均程度まではすぐに改善することが多いです。
「なんとか危機感をもってほしい」というお母様の気持ちが成就することは、お子様が中学生のうちはまずないと思ったほうが良いでしょう。高校受験がないのですから。
「中学受験で大変な思いをさせたし少しは羽を伸ばしてもいいかも」
などと思って先延ばしにしていくうちに傷口はどんどん広がります。だいたい大変な思いをさせたのは、その先の人生を思ってのことではありませんか。世の中、果実を結ぶ行為はすべからく大変な思いを経由するものです。羽を伸ばし放題伸ばさせて、定期テスト勉強を試験2-3日前にちょろちょろやっているだけの様子を放置していて良いのですか?
塾としては南女・淑徳等の一貫校中学生について
・数学は高校課程に上がる前(体系1,2のうち)
・英語は中2の夏休み前まで
に指導を開始したいと考えています。この時期までであればたとえ傷が広がっていても2-3ヶ月程度あれば治癒できます。
お子様が通塾について否定的な態度の場合、事前アンケートにその旨をご記入ください。当塾での塾生生活がさほど負担がないことを面談時にお伝えします。
一度入塾してしまえば、塾が嫌な気持ちも気にならなくなるはずです。物理ではものを動かすときの摩擦力は、動かす直前が最大で、動いたあとはそれより小さくなると勉強しますが、塾通いもほぼ同じです。
最初は週1回数学だけ(もしくは英語だけ)から通塾を開始していただければ、テスト前に授業追加や勉強会参加をしていただけますし、夏休みや冬休みなどに講習を受講していただくことでも、徐々に温度感を上げていただけます。そこでお子様には「週1回110分だから気楽でしょう」と背中を押してあげてください。
せっかく豊かな才能を中学受験で伸ばしてこられたのですから、当塾としては学習支援のバトンをスムーズに受け取って次の6年間を充実したものにしたいと考えています。
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